■ 電撃の「中朝」首脳会談

  森友問題で日本中が騒いだのは3月27日。実にその前日に北朝鮮の金正恩委員長は北京に赴き習近平主席と会っていた。その秘密裡の行動に世界中は驚いた。私は、遂にやられたかと、密かに落胆の淵に沈んだ。
  実に昨年8月14日と25日に私は「米朝対話」を実現せよ、そのために日本こそが米国の説得に回れと書き、爾来一貫して「米朝対話」を訴え続けた。時は北朝鮮がミサイルと核開発実験を露骨に繰り返し、米国との対決、世界平和への脅威が拡大する一方で、世界は国連安保理を中心に徹底した制裁圧力に邁進した。日本は制裁圧力の最先端にいた。
  私の本旨は、将来における東アジアの軍事、安全保障は常に中国の存在に左右され、中国の専横的膨張主義こそ絶対に抑えておくべきであるとした。北朝鮮と中国の関係は最悪とされていたその時、米朝関係をいち早く改善し、北朝鮮に米国のコミットメント(関与)と主導権をしっかり築いておくことが戦略的に極めて有益であるとした。北朝鮮が中国と離反して...いるその間こそが絶妙のタイミングであり、仮に北朝鮮の「核保有」問題で多少譲歩しても米国と日本が核査察を徹底すれば、この国は十分に管理出来るというものであった。
  「非核化」の原則に拘わり過ぎたのが今回タイミングを失する最大の原因であった。
今年1月9日、韓国文ジェイン大統領がオリンピックに託(かこつけ)て南北首脳会談を発表した。米国、日本ではこれが米韓、または日米韓の民主的連携を乱し、相互を離間するとして文氏を非難する声が支配的であった。私は、むしろ文大統領の決断を評価した。現にこれを機に南北関係、米朝首脳会談、金正恩氏の訪中と一気に事態が展開し始めた。文ジェイン大統領の決断力と胆力を認めざるを得ないし、今や日本外交は「後れを取った」、「外された」という誹(そし)りを受けたり、失ったものの大きさを自戒する日が来ることを、私は懸念する。
  更に電撃的金正恩訪中で分かったこと、例の国際的制裁圧力においても、米国と日本はしきりに中国の協力が不可欠と北京詣でに血道をあげてきたが、中国(やロシア)が本気で制裁に与するはずはない、と言うのが私の一貫した立場であった。今漸くトランプ氏も安倍氏も中朝「血の結束」に遅ればせながら気付いたかと思う。

  <引かれ者の小唄> という言い回しがある。私のような議員が発言しても、それが外交政策に直ちに影響を与えるものではない。然し、やはり言わなければならない、何故なら、私は身も心も国家に捧げているのだから。