■ 〈森友事件〉には、どう考えるか

  森友事件で連日騒がしい。あらゆる報道が掛かりっきりである。野党、マスメディアは政権、自民党が悪いと決めつける、政権、自民党はもっぱら防戦に回る。昨年初めからもう1年を超える。自民党議員として思うところは複雑である。昨年2月、予算委員会で安倍首相が「少しでも関与していれば、総理も議員も辞める」と答弁したが、私も目の前でさすがにびっくりした。無実には自信があったこと、あの場面でははっきり言い切った方が説得力があると思われたのだろう。(正直、この言葉は後で厄介になると皆直感したものだ。)
  土地代9億円が8億円値引きされたということには、余程の合理的理由が必要になる。埋設された廃棄物の撤去費を買主側(学園)が負担するからというのが理由だが8億円を積み上げるのは容易ではない。籠池夫妻と関わったのは昭恵夫人の不運、または不徳と言わざるを得まい。また籠池夫妻を刑事訴追したのは、良かったかどうか、もちろん司法、検察の問題だが今後も厄介問題として残る・・・。
  今年2月になって、終わったと思っていた森友事件は衆議院予算委員会で再燃。そして3月、予算委員会が参議院に移るや、朝日新聞の公文書書き替えすっぱ抜きを機に、(土地価格問題から離れて)、公文書取り扱いに焦点が移った。財務省近畿財務局(「近財」)で作成した報告書(公文書)がいつの間に大幅に書き換えられていた。その書き替え(改ざん)はいつ、誰がやったのか、に関心が移った。あり得るとすれば、8億円の値引きを説明するに政治家や昭恵氏や財務省本省などに不利とならぬよう配慮したことだけは推測出来る。が皮肉なことに、原文書には違法たり得る内容が書いてあるわけではなかったが、書き替えたことで、却って(あらぬ批判から逃れようという)近財の思惑が見透かされ、さらに公文書手続きが違法ということになった。この違法行為を誰が、何故、誰の指示でやったのか、その当事者捜しが焦点となり、3月27日の佐川元理財局長の証人喚問(衆参予算委員会)に国中の耳目が集まることになった。
  敢えて私見を述べるなら、普通公文書決裁の手続きに政治家や上級官僚が関わるものではない、そもそも彼らに公文書を扱う手続きへの認識も動機もない。それは近財が単独で、または本省財務省と連絡とって、良かれしと思って行動したことで、文字通り「忖度(そんたく)」という最も日本的な行動ではなかったか。阿吽(あうん)の呼吸の中で、担当者らが、例えば国会答弁に矛盾しないよう、少しでも累が及ばぬように配慮したものだったか。(「忖度」とは常に「下位の者が秘かに行うこと、上位の者は認識しない」。「惻隠(そくいん)」の対語といえる。)(藤原正彦『管言妄語』「週刊新潮」3月29日号参照)
誰が書き換えたかは、実は難しい、まず真相解明に全力を尽くすことが必要。特定個人かも知れないし、組織的行動かも知れない。ただ仮に特定されたとして、それで案件全体が落着するかは必ずしも見通せない。国民の怒りは非常に高まっている。政治がおよそ国民の信頼に依るものとしたら、政治の側はその信頼を取り戻すために如何なる選択も覚悟しておかなければなるまい。

(尚、本件、安倍政権と対決するために、財務省側が秘かに仕掛けた大技であるとの俗論さえあるが、考慮に値いしない。)