■ 米国鉄鋼関税上げ、貿易戦争への引き金か

  米国トランプ大統領が輸入規制、鉄鋼25%、アルミ製品10%への関税引き上げを発表した。本音は中国との貿易赤字がひどくなり、その一番の原因が鉄鋼の輸入である。中国の鉄鋼生産量が圧倒的でかつその低価格が国際価格を引き下げ、米国の国内産業を損っている。中国だけを狙う訳には国際ルール(WTOなど)上許されないので、世界中を相手に発動する。我が国への悪影響も大きいし、当然日本も米国には抗議した。中国、EU などはすでにWTO上の報復措置などを準備始めた。これが世界中の貿易戦争の引き金になるかも懸念する。
  「アメリカ・ファースト」の経済版である。トランプ大統領は、まず自国の内政が大事であって、自由闊達に方針を出す。国際社会への影響は甚大だが、それはお構いなし、二の次、三の次。大国のリーダーたるもの、普通は次元の高い説明をしながら、実は実利(国益)を稼ぐものであるが、トランプ氏の場合、全て思いついたまま、非常に分かり易い。外交、安全保障ばかりでなく、いよいよ通商経済にも及んできた。この傾向は、米国秋の中間選挙に向けて、一層強くなる。
  トランプ氏の指導者としての精神力と実行力には敬意を表するが、同時にこの大統領で本当に大丈夫かというのが、当選以来彼に持つ、私の懸念である。