■ トランプ大統領、FBI長官を解任

  トランプ大統領 、FBI 長官を解任

トランプ大統領がFBI(米連邦捜査局)のコミー長官をいきなり解任した。
  この問題では、私が「日本で一番」詳しいかも知れない。多少の自負がある。

  昨年11月9日、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選した。その瞬間、私はこれはFBIの影響が決定的に大きかった、と断じた。何故ならコミーFBI長官は10月27日にクリントン候補のメール問題を「刑事捜査する」と発表、クリントン候補はそれまでの圧倒的な(7%)支持率差を一気にゼロとした。投票日2日前に同じコミー長官が「再捜査せず」と言い直したものの時すでに遅し、トランプ氏が「大逆転で」当選を果たした。私はただ、 選挙投票直前での刑事捜査発表などあり得ないとFBIを非難したもの。(なお、本件、読売新聞社主 渡辺恒雄氏が全く同趣旨で詳細に分析されている、「文藝春秋」本年4月号)
  民主党オバマ大統領は最後の力を振り絞って、この選挙にはロシアの国家的サイバー攻撃があったこと、その裏に共和党の手引きで民主党クリントン攻撃もあったことも掴んで、昨年12月末ロシアの外交団35人を国外追放した。(この措置は米露国交断絶に近い。)
  一方、大統領就任(1月20日)前後のトランプ氏はロシアとの友好関係を考えて、サイバー問題を不問にした。トランプ大統領の信任を受けてコミー長官は再任された。ロシアのサイバー攻撃は決して止まない、遡って大統領選挙やクリントン陣営への攻撃が段々と明らかになってきた。コミー長官は生真面目にもロシアの米国へのサイバー攻撃、ひいてはトランプ大統領との関係を本格的に調査(捜査)し始めた。
  コミー長官は大統領予備選挙中の昨夏7月にクリントン候補のメール問題について刑事捜査しないと発表していた。今回の解任はその時の不手際、司法省との意見衝突などが口実とされている。実際にはトランプ大統領が自らの対露関係が捜査対象となっていることを嫌ってのものではないか、というのが専らで、むしろ事案を隠蔽、「捜査妨害」したとの批判が起こっている。

  司法が政治的に中立、政治からの独立は民主主義国家では最も基本のことであるが、米国ではニクソン大統領(当時)が盗聴事件を捜査する特別検察官を解任したことがある。「捜査妨害」との反発からニクソン弾劾、辞任に発展したこともある(ウォーターゲート事件1974年)。

  司法と政治の衝突は日本では起こりにくい、米国とは大分異なる。議院内閣制と大統領制の差に関係すると私は考える。議院内閣制では政権(内閣)は議会にその足場を依拠しており、議会のチェック機能が大きい。これに対し、大統領制では政権への議会チェックは間接的で、次の議会選挙で勝つことなどが影響する。日本でも造船疑獄事件に関連して法務大臣指揮権発動問題が起こったことがある、1954年。