■ 嗚呼、元添田町長「山本文男」氏逝く

  元福岡県添田町長 山本文男氏が亡くなった、90歳。町長を10期やられ、その間全国町村会会長を長く務め、地方政治の真の実力者であった。私はその添田町で小学校、中学校を学んだ。長じて私が神奈川から福岡に戻って来て以来、先生は選挙区の外から終始私をご指導下さり、私もいつも敬意を尽くしていた。強面でぶっきら棒ではあったが、そこが先生のいいところでもあった。
  先生は晩年、突然の事件に遭われた。福岡県庁の幹部を接待したかどで贈収賄事件となり逮捕された。県内地方組織の長として公務に懸命に尽くされ、私心などあろうことのない事件であったが、犯罪を冒したというその汚辱は付いて回った。先生は無念の想いを雪(そそ)ぐために、遂に次の町長選にも出られた、83歳だったか。被告人の立場で出た選挙の出陣式は、あの10期連続、無敵を誇った同じ人とは考えられない無惨なものであった。私は応援に立って先生の心中を懸命に訴えたが、結果はもちろん落選、身の潔白を証することは叶わなかった。
  先生は如何に無念な想いで瞼(まぶた)を閉じられたか。地元紙の弔意文は山本町政の赫々(かっかく)たる成果と実績で埋まっている。ただ、合掌するのみ。