■ 慰安婦基金に10億円拠出へ、日本外交の勝利か、敗退か

  日韓合意に基づき日本は、韓国の「慰安婦基金」に対し10億円を拠出することとした。約束したことだからそれを履行することは悪いことではない。一方、ソウルの日本大使館前の「慰安婦像を撤去」するという韓国側の約束は果たされなかった。この約束は外相合意に明記されたわけでない、韓国外相が「その方向で最大限努力する」と発言録に載せていること。日本政府は10億円支払いと慰安婦像の撤去は当然に「同時履行」「条件関係」にあると説明していた。韓国は逆にその認識がないと言っていたから、いわば当初から認識のズレ。合意から半年、予想した通り、日本だけが支払い、韓国は約束を果たさずとも恥じるところはない。自民党は何度にも亘って撤去の約束を守るべきことを訴えた。今外務省は、日本の拠出を先行させることで、韓国に撤去に向けて心理的圧力を掛け続けることが出来るとうそぶいているが、韓国はそんなに柔( やわ)ではあるまいに。
  今世界には46の慰安婦像が建っているという。うち韓国には40あり、合意...後の3月末には釜山に巨大な像を新しく作った。さらに国内にはあと6体が計画されているという。さらに韓国はユネスコ記憶遺産に慰安婦問題を共同提案している。韓国政府は「民間のやることは止められない」と説明する。
  かくして日本人は民族の歴史と誇りを守るために、これからも世界中で厳しい闘いを営々続けることになる。今回の日韓合意が政府の「全面謝罪」と受け止められたとしたら、今まで以上に難しい闘争になることも覚悟しなければならない。

  私は一連の日韓交渉につき、実は高く評価もしている。昨年暮れの合意を機に日韓関係は大いに改善した。さしもの根深かった慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に」解決し、最早お互いは紛争に持ち出さないこととした。現実の外交関係は飛躍的に静かになった。韓国の中国傾斜を止め、安全保障の日米韓トライアングルは対北朝鮮、対中国という共産国家への鉄の結束を強化した。これだけの果実を呼び込むには、日本民族の歴史的屈辱は別におくとして、10億円など実は安いものであった。安倍外交の勝利で、肉を斬らして「骨を斬った」とも言える。いや逆に本当に骨を斬られたのは日本人だと思う人もいるかも知れない。