2016年

7月

20日

■ 誇るべき、歴史文化財の保存と継承

  九州国立博物館で文化財の防災と保存、継承などの特別講演会が行われた。正倉院、京都御所、五摂家の近衛家、遂には地方大名などの持つ夥しい数量の文化的収蔵品が自然災害、火災、戦乱、はたまた廃仏毀釈など社会的変動の中でいかに難を逃れ、保存され、今日に継承されてきたか。
  近衛家は7世紀の藤原鎌足にその源を発するが、18世紀の一族の記録書によれば膨大な所属遺産は実に140回に及んで保管場所を移転して戦乱や災厄を避けたこと、皇室の御文書は東山御文庫などに厳重に保管されているがそれには後西天皇、霊元天皇 ( 111代、 112代) という地味ではあるが文化に造詣の深い両天皇の存在が大きかったこと。
  今日の東京国立博物館こそ明治新政府の先見と英断の結果で関東大震災、第二次世界大戦を乗り切ることを実証した。熊本の地方大名矢野家は2008年の古文書実習の時実に280万ページの目録を作成しており、今回の熊本地震に備えることが出来た・・・
  何故これだけの膨大な歴史文化遺産が整然と保存されてきたか、「それはどの時代にもそれを赦す社会構造があったこと、さらにその文化財の価値を断固と守り抜いた人々の強い意志があったこと」と講師1人は纏められた。およそ日本人は、日本民族は、奈良の古来から歴史文化に覚醒しその価値を認め維持し、それを国家意志へとつないできた、これほどの文化的民族はほかにいるだろうか。私には非常に素直にわが民族と先人たちを心から誇りに感ずる瞬間でもあった。