■ 『母と暮せば』( 山田洋次監督)

  話題の映画『母と暮せば』を観た。長崎の原爆で死んだ医学生浩二とその許嫁町子との哀しくも美しい純愛物語。母(吉永小百合)は如何に悩んだか、その母と亡霊と化した浩二との不思議な交流。感情を抑え遂に冷静さを失うことはなかったが、母は一度だけ、たった一度だけ、「あなたの代わりに彼女が死んでくれていたら」と泣く。それを浩二が母を強く諌める、絵も言われぬ母子の愛情と哀しさを織り上げていく。原爆のことも戦争のことも、何の非難も出てこない、しかし何より強い反戦映画でもある。
  なお、縁あって山田洋次監督に近い人がいて、私が自著を名入りで贈ったところ、監督からご懇切にも名入りの返礼が届き大変感激しています。