■ 「慰安婦問題」ーーー 私が渾身の力で訴えること

  日本と韓国で懸案の慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決」した。このことが両国の外交的不調の主因であったとしたら、これをもって今後両国関係は一層融和し、未来志向の新時代を迎えることとなる。

  いわゆる慰安婦問題は戦後40年以上経った 頃に突如として両国間で政治問題化した。そもそも慰安婦問題は、「吉田誠治」なる旧日本軍関係者が著書で言い始め( 1983年)、それを朝日新聞が広く喧伝した(1992年)ことに始まる。日韓間でもつれた時に出された「河野談話」( 1993年)が一応日本の公式発言となった。国連人権委員会にまで報告( 「クワラスワミ報告」1996年)された。2011年、ソウルの日本大使館前に慰安婦像が設置され、それが米国( 2013年)、オーストラリア、欧州にも伝播した。呼応するかのように日本の歴史問題に関連し中国、韓国が反日運動を激しく展開、日本人の誇りと名誉を痛く傷つけることとなった。...
  2014年、吉田証言はそもそも虚偽で「強制連行などなかった」ことが判明し、朝日新聞も正式にその誤りを追認、謝罪した。それなら本来「河野談話の撤回」こそ本筋であったが、それは外交的には採り得なかった。日本にとってはこれら一連の紛争は1965年の「日韓請求権協定」、および1995年の「アジア女性基金」で全て解決済みとの立場を一貫してきた。近年、2014年以降には特に、政府でも自民党でもその検証作業を集中的に行い、日本の認識と主張を正しいものとし、少なくとも中韓の反日的な情報戦争に対抗できる対外情報の発信こそが不可欠という事となった。
  この流れの中で今回政府のとった日韓合意は予想を超えるものであった。日本が例え正しい主張を繰り返しても韓国が納得する可能性は低い、この問題で争いを続けている限りは日韓両国は歩み寄れない、という外交的配慮。更に日韓の不調が中国を利すること、北朝鮮への安全保障対策を遅らせる、という東アジアへの米国の強い懸念が後押しをした。まず日韓間を正常化すること、安倍首相は国の年来の思想や行動に敢えて捉われず、より高度な立場、外交を優先することを決断した。最も保守的と言われてきた安倍氏がその決断をしたところに今回の合意の凄みがある。「河野談話」どころではない、全体に責任ありと認め、謝罪したのだから、韓国が満足するのは言うまでもない。当然日韓関係は好転する、関係司法の動きもそれと連動してきた。
  一方で、我が国は本当にそこまで譲っていいのか、将来にわたって禍根を残す、国の誇りを傷つけることにならないか。「強制連行はない」と断乎否定してきた首相がそれを事実上認めて謝罪したこと、違法と非難さるべき慰安婦像を撤去することを資金まで積んで依頼したこと、これら政府の決断を日本人は本当に受け入れることができるのか。いわゆる旧慰安婦が高齢であって「生存中に解決」という要請があったとすれば、ことは国家、民族の問題であって個人的な問題に矮小化してもならなかった。慰安婦像は今や韓国の日本大使館前だけでなく米国ほか世界中に広まっているものを如何に撤去するのか。また中国その他が韓国に対したと同じような賠償的措置を要求してきた時はどう反論するのか・・・
  私が更に、最も恐れるのは、外交関係さえ改善すれば原則論は問わない、または謝れば済む、という日本的な解決でこれからの外交、国際関係は本当に大丈夫なのか、悪しき先例を作ったのではないか。竹島問題、南京事件、東シナ海資源問題、尖閣諸島、北方領土問題、靖国問題、拉致問題、南シナ海問題など我が国には周辺諸国との間に深刻な課題が山積している。これら難問を正しく、国益を踏まえて追求していくためには、最後まで毅然として闘い抜く気迫と姿勢が必要ではないか。
  私は今回、日韓合意が出るまでは徹底的にその問題点を挙げて反対の立場を明確にした。多くの議員たちとその懸念を共有した。実は今でもその思いは変わらない。 然し外交は政府の専権である。外交に権限と責任を有するのは政府である。そしてその政府が一旦国際的に約束したものを誠実に守ることは国として当然の責務である。私はそれを支持する、それは議員としてまた国民として当然のことである。その際今後の運営にあたっては、これら憂国の士たちが真剣にかつ深刻に悩んだことはしっかりと踏まえて欲しい。
  一方で韓国には次のことを望みたい。わが安倍首相は国の年来の主張と多分個人的な信念をも懸命に抑えて今回の合意に達した。ひたすら自由と民主主義という共通の価値観を持つ両国が争ってはならない、日韓両国の堅い絆こそ世界平和への不可欠の要衝という熱い使命感に燃えたもので、首相のその「世界精神」を是非とも理解し、合意内容の履行と今後の両国の友好増進に努められたい。

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コメント: 4
  • #1

    Miya (月曜日, 04 1月 2016 18:43)

    原田義昭先生、

    年末に、安倍首相が慰安婦問題の合意をしましたが、裏切られた気持ちでいっぱいです。

    オーストラリアで日本の名誉を回復する活動をされている方の見解をご紹介します。
    多数の方がネット上でコメントされていますが、読み応えがある内容です。

    http://nadesiko-action.org/?p=9462

  • #2

    廣内篤久 (月曜日, 04 1月 2016 21:24)

    従軍慰安婦に関する日韓合意について自民党も国会議員も終りかと思いましたが、原田先生が明確に反対のご意思を示されたことを知り、暗闇の中に一筋の光明を見た気がしました。
    党の内外を問わず、先生の周りには志を同じくする方がたくさんおられると信じます。私は県外なので投票できないのが口惜しいですが、次の選挙でも当選されることを心よりお祈りしております。

  • #3

    菊池つつむ (土曜日, 09 1月 2016 12:11)

    今回の、日韓合意失望しました。
    私も、先生が自民党で只一人明確に反対の立場だった
    という事を知りました。
    深い深い失望の中にいます。
    国が滅ぶとは、こう言う事なのですね。
    先生、がんばって下さい。

  • #4

    ひげ (日曜日, 10 1月 2016 22:36)

    外務省が直前に軍の関与を盛り込み、岸田がそのまま読んだということだそうです。
    岸田もわざとでしょう。
    この時点で、税とは何か?政府は税を貰って何をするのが仕事か?
    この正当性が完全に崩壊したわけで、自民党は解党しなくてはいけません。
    軍の関与という意味の英文は、ニュアンスとしては海軍省と陸軍省のみならず、統帥権を持っていた天皇陛下にもその罪があると解釈されるもののようです。
    よって、原爆を落とされて仕方ない悪であり、更にあの強気のMr.安倍が認めたのだから、もっと酷いことをしたのだろうと解釈されています。
    この解釈は無限に可能なもので、ことあるごとに結び付けられ、話がどんどん創作されていくのと、工作により、世界が日本を敵視するようにも流れていってしまいます。
    つまり外務省と岸田は、共産党が出来なかった夢の革命を実現したわけです。
    これだけの罪は、朝日がやった大冤罪事件をも遥かに凌駕する、むしろお墨付きにオマケまでつけた行為なので、どの様に表現すれば良いか分かりません。
    とにかく、鳩山越えどころじゃありません。
    我々国民は政府から見捨てられたわけであり、または歴史も奪われ、正当性も奪われたわけであり、今は何人なのかすら分からず、アイデンティティが崩壊しています。
    前代未聞の、政府の方が無政府主義という結果ではないかと。
    それでも自民党は勝つのでしょう。
    自民党にとっては、何もマイナスは無かった。
    無国籍で、国家が存在しない状態です。
    国共内戦のように、統治のない日本列島という地域において、自民党国、民主党国、公明党国、共産党国などの集団が存在しているのでしょう。
    自分は、一応は、日本のこころを大切にする党の、略称日本、その日本国のつもりではいますが。
    もう先祖からの恩恵は断ち切られました。
    神様とも繋がりが一切ありません。
    個人主義の究極の形、野生の完成です。