■ 野坂昭如さんのこと

  作家でマルチタレントの「野坂昭如」さんが亡くなって、その業績や来し方について様々報道が行われている。私はただ一方的に知っているだけだが、敢えて言うならほんの少し接点があった。
  大学に入った年、50年以上も前、「野末陳平」さんという作家がいて( 今もご健在 )、縁あって私は彼に英語の家庭教師をしていた。その頃野末さんと野坂昭如さんは別にコンビというわけではないが仲も良く、いずれも黒メガネをかけてチョイ悪ぶった、無頼なインテリを装っていた。そこで野坂さんに私もよく出くわしたのだが、野末氏は大分経って参議院議員となった。これは先刻参議院議員になっていた野坂氏に刺激されて野末氏も選挙に出たと私は思っている。野末氏は政治家としても「税金党」という政党を立ち上げ一世を風靡した。
  時代は大分下がって、私が選挙に出始めた頃。友人の一人がラグビーの愛好者で、野坂昭如も同じアマチュア・チームのラガーマンだという、よし一緒に写真でも撮れないか、ということで改めて会いに行った。丁寧に応対はしてくれたが政治的スタンスはだいぶ違うので、敢えて写真のことは頼まず挨拶して帰った。
  野坂氏についての弔遺文を読むと、「焼跡闇市派」と終生を自嘲した無頼漢も、遂にその能力は隠し果せなかった、凄まじい生き様だったというのが改めての印象だ。