■ 決して人を見くびってはいけない。

  日曜日のNHK囲碁は私にとって一番大事な番組ですが、地元行事と重なるので月に一度くらいしか見られません。超一流のプロ棋士の手合い( 試合 )ですからファンにとっては夢のような時間です。それに解説者がつく、プロの解説の奥深さは本当に凄い、読んでいる( 先の動きを見通す)能力が半端でない、大いに勉強になります。
  が今日の解説は良くなかった。今日の手合いは一進一退でしたが、途中でほぼ大勢が決まった。一方に見落としがあったか、優勢Aと敗勢Bは私らにもわかるようにはっきりしてきた。すると解説者は敗勢の側Bに早く「投了せよ」( 降参しろ)と促す、それが礼儀と言わんばかりに。囲碁将棋には、最後の数歩手前、敗勢を見極めた処で「投了」という形を取ることが多い、それが負ける人の潔さ、勝負師の「美学」とされている。
  敗勢Bはそれでも頑張る、必死の形相で懸命に頑張る。解説者は殆ど呆れて、むしろ見放したような言葉を続ける。一方勝勢Aは真面目にただ淡々と勝負を続けている。解説者は二人への呆れ顏を隠すことなく、Aの我慢強さ、辛抱ぶりを露骨に誉めそやす、普通なら怒ってもいいものを、と言わんばかりに。そして勝負とは不思議なもので、見損じがあったか、思わぬ事態で形勢は逆転してしまった。遂にAが投了した。Bが勝ったのだが、その瞬間、憮然とした解説者の顔が大写しに、自分の極め込みが全て外れたことへの悔しさか。
  こういうケースも珍しい。懸命に闘う両者には慈愛と敬意を込めて、しかしテレビファンには鋭くも易しく時にはユーモアを交えて説明してくれるのが普通の解説者なのだが。
  勝負は決して諦めてはいけない、そしていかな状態でも人を早見くびりしてはならない。これが今日得た教訓です。