■ 「集団的自衛権」は「憲法違反」か

  現在審議中の平和安全法制は「違憲」か。先週の衆議院憲法審査会で激震が起きた。参考人質疑の中で、自民党与党の推薦した学者が「違憲」と明言した。参考人質疑とは各委員会、審議の終盤で行われる手続きであり、普通大きく騒がれることはない。
  平和安全法制では「集団的自衛権」がキーワードであるが、これは日本が直接に攻撃されなくてもそれが究極的に日本の国民を守るためなら、密接な同盟国を防御するために例外的に自衛権を発動し得るというもの、もちろん厳しい要件( 「新三要件」等)がついている。憲法9条違反ではないかと議論される。憲法9条は字面を読めば「いかなる戦力も保持しない」として、現行の自衛隊も違憲ということになりかねない。しかし最高裁の砂川判決(昭和36年)では国の自衛権は国連憲章や憲法前文から天賦の権利として認められており、それは「専守防衛」(=専ら防衛のみで決して攻撃しない)と位置付けられる。さらに集団的自衛権については、権能はあるが使わない、と閣議で決めた(昭和48年)。集団的自衛権については国際法上、他国の防衛を含むという概念でもあるが、我が平和安全法制はわが国の防衛だけが目的でそれを守る限りの範囲で許される、それは「専守防衛」の範囲内という認識にある。
  日本の防衛力を更に整備することで国の「抑止力」は格段に増す。抑止力とは潜在的防衛力を高めることで、他国に侵略する欲求や誘惑を起こさせないことで、抑止力が増せば他からの攻撃やその可能性は大いに減る。結果的には平和を維持し国民を守ることになる。ゆえに「平和法制」と呼ぶ所以でもある。ましてや戦争に行く法制などではあり得ない。
  多くの法律学者は自衛隊も違憲、ましてや集団的自衛権は更に違憲、というだろう。しかし「国家」というものは、国民と国土を守る立場にあり、憲法上も国家にとって最も崇高な権利でもあり義務でもある。国土と国民を守るために国家がある。

  さて自衛隊は違憲とすると >>自衛隊は廃止する>>国として無防備になる>>他国から容易に侵略を受ける・・・という負の連鎖が起こるが、これは絶対に受け入れられない。国家としては国土と国民を守りながら、憲法9条の理念と現実をいかに整合性を取るかに腐心してきた。抑止力を高めることが戦争を抑止し平和を守る最も平和的かつ効果的な選択であって、今の中国、北朝鮮、ロシアの拡張的覇権主義を思う時、一国のみの平和主義では自らさえも守れない、最小限の集団的自衛権こそ不可欠である。
  昭和35年、日米安保条約改定の時、米軍の戦争に巻き込まれると言われながら一度の戦争にも行かず、平和主義を率先垂範してきたわが国の実績には誇りと自信を持ってもいい。