2014年

10月

21日

■ 映画 「蜩(ひぐらし)ノ記 」

  評判の映画「蜩ノ記」(原作 葉室麟)を観た。江戸の中期、封建武家の戒律が厳として時代と社会を覆っていた。戸田秋谷(しゅうこく)(役所広司)は藩と藩主を守るために密通なる罪状を背負って10年後の死罪(切腹)が確定していた。檀野庄三郎(岡田准一)は密命を帯びて秋谷らの監視についた。
  死期はひたひたと迫っていた。秋谷はただ黙々と藩史の編纂に勤しむのみ、子どもを育て、家族を愛し、村人を導いていた。庄三郎は秋谷の凛とした死生観にただ感服し、死罪の虚構も暴くことになった。が、時が来て秋谷は遂に従容として死地に赴いた。理不尽ともいえる時代規律と、至誠を貫こうとする人格と、二つの相克は今のわれわれにも問いかける。死期が決まった人生をどう生きるか、という重い課題にも果敢に挑戦する。

  なお敢えて付言する。この映画、崇高なテーマが喧伝されていた割りには余り出来が良くなかった。筋を追っただけで文学的にも芸術的にも感動がなく、時代考証も十分でなく、有名監督の名には値いしなかった。私の幼稚な認知力だけかと思ったら、ネットには同様に辛辣な評価が溢れていた。