■ 百田尚樹 『フォルトゥナの瞳』を読んで

  話題の本『フォルトゥナの瞳』を読みました。サイエンス・フィクション。慎一郎は不思議な能力だが、死期の迫った人について体が透明化していくのをはっきり見ることが出来ます。死亡するであろう事故原因などを取り除いてやればその人は助かるが、その分、慎一郎自身は自分の命を削っていくことになる。
  ある時、保育園の園児たちの遠足が近づき、多くの園児たちの死期が迫っているのに気付きました。電車事故に遭うことが予知されたのです。
  一方、幸薄く育った慎一郎でしたが初めて掴んだ恋の幸せ、絶対に手放したくなかった。放っといて幸せを選ぶか、しかし電車を止めなければ子ども達は皆死んでしまう・・・。遂に意を決して慎一郎は踏切に身を縛り付け、電車を止めてしまう。本人はそのまま心筋梗塞で逝った。慎一郎は幼児の時、自宅の火事で父母と幼い妹を亡くしていた。あの時何故この予知能力で可愛い妹を救ってやれなかったか。その家族愛とトラウマが全編の底流となっています。
  『永遠のゼロ』といい百田尚樹氏の筆力には感銘します。本作では神奈川県の川崎市、川崎駅、京急川崎駅、南武線、など私の熟知している場所が舞台になっており特段の感慨を覚えます。「フォルトゥナ」とはギリシャ神話で幸運を見通す女神とされています。英語のfortune の語源。