■ 松井選手は不器用だった

 プロ野球の松井秀喜選手がミスター長嶋とともに国民栄誉賞を貰った。巨人やニューヨークヤンキースなどで記録的活躍をした。このところ松井選手を取り上げた番組が続く。私生活も称賛に値する。自ら述懐する。自分は生来物事に「不器用」と言われていた。なんでも直ぐには上手くなれない。不器用であれば人の何百倍も練習しなければ人に伍していけない、ひたすら練習に打ち込んできた。その練習量が今日の松井選手を作り上げた。

 「不器用」という言葉を私は久しぶり耳にした。実はこの言葉、私と縁が深い。私は子供の頃から自分の性を漠然とそう思っていた節がある。祖母は優しい人だったが、何かの時に自分をその言葉で叱ったのだろう。
長じて大学では柔道部の猛者として活躍していた。大学の柔道場で。いつもの通り、全員、30人くらいだったか、車座になって新しい寝技の研究をしていた。師範の先生の仕草を手本に一人ひとりその技を実地した。自分も順番でやったのだがどうしても上手くいかない。その時先生が、お前も不器用だな、と言って特に念入りに教えた。場は大笑いになり、私も皆と笑った。自分は不器用なのだと自分に言い聞かせた瞬間だった。
月日は2年くらい経った。私は遂に「横三角の原田」と恐れられていた。この難技の奥義を究めた者は、近年他に聞かない。(横三角= 柔道寝技における特殊な技術)
 他愛ない自慢話しで申しわけない。まして、世界の松井で思い出すのもいかがとも思う。が、「不器用」と言われることも決して悪くはない。