■ スピルバーグ監督『リンカーン』

 映画『リンカーン』を見ました。言うまでもない米国16代大統領で、奴隷制度を解放したことで有名です。この映画は奴隷解放を憲法修正する議会採決の政治舞台がテーマです。1864年頃、南北戦争も終わりに近づいていた。リンカーン大統領率いる北軍は奴隷制度を廃止すべく懸命な議会対策を進めていた。共和党議員はほぼ賛成するが、南部諸州の民主党議員には反対派が多い。リンカーン自ら懸命にその説得に当たる。脅し、賺し、懇請、陳情処理・・・現代でもかくありという徹底した議会対策。南北戦争はあらゆる犠牲を国民に強いていた。リンカーン自身長男を失っていた。戦争終結こそが奴隷解放の必要条件といわれていただけに、戦争が終わったと宣伝する北軍とそれを悪質なデマと反発する南軍・・・いつの時代も政治や軍事には情報が入り乱れ神経戦が続く。結果遂に必要要件の議会3分の2をぎりぎり獲得する。事を成し遂げたが、疲れ切ったリンカーン。その6日後、癒しに訪れたフォード劇場、楽しい演劇観覧中、非情な一発の銃声が会場を揺るがした(1865年4月15日、享年54歳)。
  奴隷解放は必ずしも博愛主義、人道主義からだけ出たわけではない。この国の自由と民主主義、とりわけ連邦制度を守り抜くことが重要であって、そのために奴隷解放が役立つなら、それに向けて敢然と取り組む、とリンカーンは演説している。
  ダニエル・デイルイスはアカデミー主演男優賞。スピルバーグ監督。