■衆議院選挙、一票の格差「無効」判決

 広島高裁が衆議院選挙での一票格差問題で「違憲・無効」の判決をした。今まで「違憲」ないし「違憲状態」判決は数多出ていたが、明示的に「無効」としたのは初めて。無効となった以上当該選挙をやり直すかという問題にも発展する。今までは「情状判決」とかで、まさか国政選挙を無効扱いすることはないだろうと政治の側が高を括っていた、それに対する司法からの痛烈な批判、というのが大まかな論評。

 政治家であり法律家の自分はどう考えるか。当該選挙区(この場合、広島1区と2区)だけを無効、再選挙とするか、しかしより格差の大きい地区は更に多く、裁判の訴えがあった所だけを無効、再選挙とするには余りにも大きな政治的混乱を起こし、法的安定性も壊す。選挙全体をやり直すというのが最もすっきりするが、そうもいくまい。法理論の中に「高度な政治的行為」という概念があり、司法の判断は、国際条約や国家行為の中で仮に違憲、違法であってもそのまま実行したら政治的、法的に混乱し、社会の安定性を著しく欠くときには判決の施行は見送られ、違法状態の是正は以後の政治的判断に委ねられるということ。

 民主主義では国民の判断が最終であり、それによる内閣の政治行為で出来上がった秩序は安定した社会秩序として維持することも大事なことであって、結局は判決を強行した方がいいかしない方がいいか、二つの価値の比較較量で決定する。いくつかの選挙区だけを抽出して再選挙するなどは実際上あり得ず、少なくとも次の選挙は完璧に是正するし、それまでの間、たとえば特別法でも作って、当座の違法・無効状態を取り繕うということも考えられる。広島高裁は政治の側に極めて厳しい取り組みを義務付けた。