■ 白川日銀総裁を労う

 日本銀行総裁がいよいよ交替する。白川方明総裁は約5年勤めた。見てのとおり真面目な人で、ひたすら日銀の使命、「円の価値を守る」ことに徹してきた。日本経済は遂にデフレから脱却しなかったが、それは実は日銀の仕事でも責任でもない。が、安倍内閣の積極政策、金融緩和政策とは合い入れないのも事実であって、良いタイミングでの交替といえる。

 思えばその就任も大騒ぎだった。民主党が参議院の多数を占め、3人だか総裁候補が続けて参議院で否決された。白川総裁の指名は政治的妥協の結果だった。当初は大丈夫かとその手腕が懸念されたが、ただ黙々と勤めあげ、今や最も安定感のある日銀総裁と言われるようになった。

 その頃私は衆議院財務金融委員長で、よく一緒の委員会に出た。同じ福岡県(北九州)の出身で、かつ人は私と似ているというものだから(私はあんなに品のいいとは思わないが)、秘かに親近感を抱き、遠くからいつもその健闘を祈っていた。政治に翻弄され、ひたすらに道を求める修験者の如き白川氏は、かくして平安な私生活に戻られるのであろう。その労を心から労いたい。