高齢者虐待について

Q.

 

私の家の隣に80歳位のおばあさんが住んでいますが、介護に疲れた身内の方に暴力を振るわれているようです。おばあさんには昔良く世話になったので何か力になってあげたいのですが、どうしたらよいでしょうか。

                        (50代 主婦)

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A.

1 高齢者虐待防止法について

近年、介護保険制度が普及してその活用が進んでいますが、他方で、家庭や介護施設において、高齢者に対する虐待や、介護・世話の放棄・放任などが問題となっています。

 

 そこで、高齢者への虐待を防止して高齢者の権利利益を擁護するとともに、介護疲れなどで虐待に及んでしまう家族などを支援するため、平成17年に「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が成立し、平成18年4月1日に施行されました。この法律でいう「高齢者」とは、65歳以上の方を指し、「虐待」には、身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、経済的虐待など、5種類が規定されています。

 

この法律では、家族などの養護者や介護施設の職員などが高齢者に対して虐待をすることを防ぐため、虐待を発見した人は、市町村へ通報するよう努めることが規定されています。さらに、虐待により高齢者の生命・身体に重大な危険が生じている場合には、発見者には市町村に通報する義務が課されています。

 

通報を受けた市町村は、

①虐待された高齢者に対して相談・指導・助言をしたり、

②虐待の事実確認をしたりします。事実確認の結果、高齢者の生命や身体に重大な危険が生じているおそれがあるといった場合には、市町村長は、立入調査権限を行使することができ、必要により、老人短期入所施設等に入所させる等の老人福祉法上の措置や、後見開始の審判の申立て等を適切に講じます。

 また、市町村は、養護者の負担を軽減するため、養護者に対して、相談に乗ったり、指導をしたり、助言をするなど、ケースに応じて必要な措置を講じます。

 

2 相談について

 自分で直接お隣の家族と交渉するとトラブルが生じる可能性もありますから、まずはお住まいの市町村に通報しましょう 。そうすることで、市町村が事実を確認して、虐待の実情に応じた具体的な措置をとってくれることになります。おばあさんはもちろんのこと、介護に疲れた身内の方の相談にも乗り、指導・助言をしてくれます。仮におばあさんが虐待により重傷を負っていたりした場合には、老人短期入所施設に一時的に入所させる等の措置がなされたりします。 市町村には守秘義務が課せられているので、相談者さんの情報が漏れることはまずありませんから、ご安心ください。

 

 家族関係に不和が生じたり、近隣関係が希薄になったりすることが少なくない現代社会ですが、高齢者を始め、国民にとって住みやすい社会を作っていきましょう。