預金の差し押さえについて

 

Q.

 Aさんに100万円の支払いを命ずる確定判決を得ましたが、一向に支払いをしてくれる気配がありません。そこで、Aさんが口座を持っているB銀行C支店の預金を差し押さえたいのですが、どのような流れで預金を回収することになりますか?

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A.

 Aさんに対して100万円の支払いを命じる判決が確定したからといって、裁判所が自らAさんの財産のなかから100万円を取り出してあなたの口座に振り込んでくれるということはありません

 

 Aさんが任意に100万円を支払ってくれない場合には、あなたがAさんの財産を調査して裁判所に差し押さえの申立てをすることになります。

 

 今回は、幸いAさん名義の口座がB銀行C支店に存在することが判明していますので、この口座にある預金を差し押さえの対象にすることができます。そして、本件のように、判決に基づいて債務者の財産を差し押さえて債権者の満足を図る手続きを強制執行といい、主に民事執行法に手続きが規定されています。

 

  まず、預金を差し押さえる場合、債権差押命令申立書を裁判所に提出することになりますが、その前に、①「執行文の付された債務名義の正本」と②「送達証明書」を用意する必要があります。まず、①の「債務名義」とは、強制執行によって実現される予定の請求権の存在や範囲等を公証した文書のことで、本件では確定判決を指します。

 

 そして、これに執行力があることを公証してもらうために、裁判所から執行文の付与を受けます(裁判所の書記官が判決正本の末尾に執行文を添付してくれます)。

 

 また、②は、債務名義(本件では確定判決)の正本を債務者(Aさん)に送ったということを証明するもので、これも送達証明申請書を裁判所に提出して送達の証明を受けます。

 

  ①②を用意したら、これらを債権差押命令申立書に添付して裁判所に申立てをします。このとき、当事者目録、請求債権目録及び差押債権目録を作成して提出することが一般的です。申立て後、問題がなければ程なくして裁判所から預金の差押命令が発令されます。

 

 そして、差押命令が送達された効果として、Aさんは預金の引き出しが禁止され、B銀行C支店もAさんへの払い戻しが禁止されます。

 

 通常は、Aさんよりも先にB銀行に差押命令が送達されますので、差押えを知ったAさんが急いで預金を引き出そうとしても、既にB銀行によって口座がロックされており、引き出すことはできません。

 

 

  そして、Aさんに差押命令が送達されてから1週間を経過すると、あなたに預金の取立権が発生しますので、あなたは直接、B銀行C支店に対して預金の支払いを請求することができます。取立てが終われば、裁判所に取立届等を提出します。

 

 

  以上が、預金差押えの簡単な流れになります。実際には、判決の当事者が相続等で変動していた場合や、複数の財産を差し押さえたい場合、そのほか銀行が取立てを拒否するような場合などに応じて各種の手続きをとる必要があるため、強制執行を申し立てる場合には専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。