「被告」と「被告人」

 

Q.

  裁判で,よく「被告」と「被告人」という言葉を耳にしますが,違いはあるのでしょうか。

 

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A. 

1「被告」と「被告人」という法律用語は似ていますが,両者には違いがありますので,以下説明します。

 

2 裁判には民法・商法に関する紛争など,民事訴訟法上の手続で行われる「民事裁判」と,刑法・覚せい剤取締法に関する罪など,刑事訴訟法上の手続で行われる「刑事裁判」があります。

 

3 まず,「被告」ですが,こちらは「民事裁判」で使用します。

 

民事裁判では,例えば,売買代金を請求したい,貸金を請求したいというときに,訴えを提起することになりますが,この際に訴えを提起する側を「原告」,訴えを提起される側を「被告」といいます。

 

民事裁判を提起するのは当事者の裁量に任されており,原則として一般人が(請求権がないと判断される結果であるとしても)自由に訴えを提起できるため,誰でも「被告」になる可能性があります。

 

4 一方,「被告人」ですが,こちらは「刑事裁判」で使用します。

 

刑事裁判を提起する権限は,法曹資格を有する検察官に限定されています。検察官は,被告人が刑罰を受けるに相当であると判断する場合に起訴しますから,「被告人」となる場合は,刑事裁判の専門家である検察官の視点が必ず入っていると言えます。

この点で,広く一般人も提起できる民事裁判の「被告」とは異なります。

 

5 なお,マスメディアで刑事裁判の「被告人」を「被告」と表現することがありますが,これは単に裁判を訴えられた側という意味で使用していると思われます。

 

6 このように,似たような法律用語でも,「被告」と「被告人」には違いがあるので覚えておくと裁判の理解が深まります。

 

                                   以 上