「慰謝料を払わなければ離婚できない?」について

 

 

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妻とは20年以上別居しています。妻に離婚を切り出したところ、離婚したければ慰謝料を支払うよう言われました。慰謝料を支払わなければ離婚はできないのでしょうか。子供は成人しています。 (50代男性)

 

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1 離婚慰謝料の性質については、判例上、不法行為によって受けた精神的損害を金銭で補うものと考えられており、離婚そのものとは別個の法律関係です。したがって、法律上は、慰謝料を支払わなければ離婚できないということはありません。

 

  では、実際に夫婦の一方が慰謝料の支払を求めている場合に、離婚のみを成立させることができるでしょうか。

 

2 離婚をするには、夫婦の話し合いで離婚することを決め、離婚届を提出することで足ります(協議離婚)。夫婦のみでの話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を間に入れた話し合いを行います。調停で話し合いがまとまれば、離婚する旨の調停調書が作成されることにより離婚が成立します(調停離婚)。

 

しかし、協議でも調停でも、慰謝料等お金の問題も一緒に話し合われるので、慰謝料についての話し合いもまとまらなければ、離婚自体の合意も難しいでしょう。

 

3 調停でも離婚の合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に離婚を求める訴訟を提起することができます。

 

離婚訴訟では、法律に定められた離婚原因が認められれば、相手の意思に関わらず、判決により離婚することができます(裁判離婚)。

 

あなたの場合は、20年以上もの長期間別居中ということなので、婚姻関係が既に破綻しているとして、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)という離婚原因が認められる可能性が高いでしょう。

 

もっとも、夫婦関係が破綻した原因があなたにある場合には、判例上有責配偶者からの離婚請求として、生活費や慰謝料、財産分与として十分なお金を支払っていなければ、離婚が認められない可能性もあります。

 

また、そうでないとしても、妻の方から、離婚訴訟を利用して慰謝料を請求する訴え(反訴)を提起される可能性もあります。

 

4 以上のとおり、あなたが慰謝料を支払わなければならないのか、支払うとしてどのぐらいの金額になるのかは、具体的事情によりますが、いずれにしても、離婚をするには、現実的には、慰謝料等お金の問題を避けて通ることは難しいのです。