「ハンコのお話し」

日本はハンコ社会といわれます。出生届には父または母の署名・押印が必要ですし、社会生活を送る中で、契約書や婚姻届・離婚届のような書類から、宅配便の受領書や町内の回覧板のような日常的なものにまで押印し、遺言書に押印を忘れてはならず、亡くなるとご親族が死亡届に押印します。

このように、とても多くの場面でハンコが必要とされますから、ハンコについてきちんと理解しておきましょう。

 

1 契約においてハンコが持つ意味

  たとえばお金を貸すとき、契約書を作って貸主・借主双方がハンコを押す場合もありますが、口頭での約束でも、またハンコでなくサインでも、契約は有効です。ただ、後で、借りた側が借りていないと言い出すことがあるかもしれません。そのときに、押印があれば、お金を貸したことの証明が容易になります。

 

これがハンコを押す意味ですから、大切なのはハンコが押してあるかどうかであって、そのハンコが実印(市区町村に印鑑として登録する申請をして受理され、印鑑登録がされたハンコ)でも認印(印鑑登録をしていないハンコ)でも法的な効力に違いはありません(なお、不動産の所有権の移転や公正証書の作成などの一定の重要な法律行為を行う場合に限って、実印が必要とされています。)。

 

2 押印は慎重に

逆にいえば、契約書にハンコを押してしまうと、それが認印であっても、後から契約が成立していないと主張することは難しくなってしまいます。よく問題になるのが、他の人の借金の保証人となる場合です。

 

いちばん大切なのは保証人にならないことですが、認印であっても、慎重に考えて押さなければならないことを十分に理解しておいてください。

 

3 ハンコの管理は厳重に

また、契約書にあなたのハンコが押してあると、あなたがその契約の内容に同意してハンコを押した、と考えることになります。そのため、誰かが勝手にあなたのハンコを持ち出して契約書にハンコを押した場合でも、あなたがその事実を証明しなければ、あなたが契約したと判断されてしまいます。

ハンコは、たとえ身内の方であっても持ち出せないよう、厳重に管理してください。

 

4 捨印に注意

  ハンコは、割印、契印、消印、訂正印、捨印、止め印といった使い方をすることもあります。

  これらのうち気を付けなければならないのは、捨印です。

捨印とは、契約書の誤字脱字などを後日訂正するときのために、相手方が訂正することをあらかじめ承認する意思を表明するものとして、欄外に押印しておくものです。

 

捨印がなくても契約は有効ですし、契約書を作成するときに訂正箇所がないように正確に記入しておけば、捨印は不要です。かえって、捨印があることを悪用して、無断で振込先や金額などの重要な部分を訂正(改竄)されるおそれがあります。よほど信頼できる相手方でない限り、捨印は押すべきではありません。

 

以 上